共産主義の野望を打ち砕く
「米議会ができないなら、われわれ自由人がやろう!」
(1985年5月6日ワシントンタイムズ朝刊一面 署名入りの特別社説 全文)
米紙「OP」(other paperの略で、ワシントンーポストを榔楡した言い方)の論説担当責任者で、リベラルで鳴らすメグーグリーンフィールド女史はかつて、ベトナム戦争後の米国の考え方の核心」は次のようなものだと説明したことがある。「親米派の第三世界の指導者は誰であれ、友人にする価値はない。
一方、進歩派、非同盟、マルキシストを自称する指導者は誰であれ、国民から忠誠を捧げられているとみなされる」と。
この考え方は今もなお、リベラルなメディアの論説委員や記者たちの信条となっている。
そしてメディア関係者の95パーセントが、この考え方にとりつかれている。
それは、「ソ連は恐るべき悪者だが、米国も同じように悪者」といった生やさしい考え方ではない。
もっとひどいものなのだ。
つまり、「世界平和にとって、ソ連は米国ほど脅威ではない。
このことは、世界中におけるソ連の行動をみても明らかだ」
(「ウォールーストリートこンヤーナル」紙のヨナサンーキットニーの「終わりなき敵たち」、T・D・アルマンの「姿なき運命」)といったものなのだ。
このような見解を、有力といわれるリペラルーメディアが分がちあっている。
米議員の多くが、ここ何年間かにわたってこれらの”たわごと”を繰り返してきた。
これらの”たわごと”により全世界の友人たちを裏切るようになった。
そして、今もなおこの死の弔いの鐘は、不気味に鳴り続けているのである。
最近、米下院がニカラグア反政府ゲリラ援助案を否決したことは、全世界の指導国としての米国の面目をつぶすものである。
カークパトリック前米国連大使は、これを「吐き気をもよおす自滅的行為」と呼んだ。
そして今や議員たちの中には、次のように言う者が出てきた。
「われわれが反政府ゲリラ援助問題に時回を奪われている間に、ソ連はニカラグアのマルキシスト政権に、千四百万ドル以上もの軍事装備を海上ルートで輸送した。
われわれがこのことを知っていたなら、反政府ゲリラ援助案に賛成票を投じたのに……」と。
また、多くの議員がニカラグアのオルテガ大統領が突然訪ソし、二億ドルの援助を求めたことに驚きを隠していない。
彼らは「もしわれわれがこのことを事前に知っていたなら、同援助案に賛成票を投じたのに」と私に言った。
偉大なる米国民の代表者ともあろうものが、こんなにナイーブであってよいものだろうか。
しかし、それは大いにあり得ることだ。
彼らが、ニセ情報「ネットワーク」によって操られている可能性があるからだ。
ニセ情報「ネットワーク」については、「ワシントンータイムズ」四月八~十二日付(五回連載)で報道ずみである。
明らかに、これらの議員たちは、西半球に「第二のキューバ」が生まれることを願わない選挙民たちの要望にこたえていない。
フランスの詩人・哲学者シャルルーペギーも言うように、十分に進歩的と見られない、あるいは聞こえないことを恐れて、歴史上どれほど多くの卑怯な行為が行われたかは、到底ばかり知ることはできないだろう。
「ワシントンータイムズ」はアメリカの友人に対する裏切りを激しく非難してやまない。
人々が米国の動機や目的をソ連のそれと同一視しーー多くのメディアの花形にますますその傾向が表れているがーー
また人々がアメリカ革命(独立戦争)の不朽の原理とマルクスーレーニン主義的独裁主義とを峻別することをためらうようになった時、また自由を堅持するために喜んで戦って死ぬ気概を失っている時、さらには議会が全体主義と戦って死ぬことをいとわない人々に対して千四百万ドルを供与することを拒否する時、全体主義への誘いが身近に迫っていないはずはない。昨年十一月六日の大
統領選挙(レーガン大統領が民主党候補を圧倒的大差で破り再選された)で米国民はこのようなことにはっきり「ノー」と言ったはずである。
その信任が政治的便法の名の下に裏切られることがあってはならない。
「ワシントンタイムズ」は先ごろ、ナチスの戦争犯罪人で現在南米にいるといわれているヨゼフーメングレの逮捕・裁判・有罪確定に導く情報に対して百万ドルの賞金を申し出た。
本日(五月六日)から「ワシントンタイムズ」はニカラグアの抵抗運動に、下院が否決した千四百万ドルの人道的援助を提供するため、世界的な募金活動を開始する。
現在反共ニカラグア抵抗戦士は一万五千人いる。スペイン内戦に共和派として参戦したエイブラハムーリシガーン大隊にはいまもなお大変な敬意が払われている。
ところが、ニカラグアのマルクス主義的暴政に対して戦う者を、リベラル派は傭兵とかソモサ王議者といって簡単に片付けている。
実際のところ、抵抗戦士の中で前ソモサ政権下の国家警備隊員は2パーセントにも満たない。
彼らは以前の腐敗したソモサ独裁主義の回復を目指しているわけではない。
彼らはすべてのアメリカ人が生命自体よりも尊ぶべき価値のために戦っている。
圧倒的な兵力と武器を持つ敵に直面している自由の戦士を、いま支援しなくてはならない。
そうしてはじめて、世界に向けて、米国民は白山を求める人々に背を向けることはないという明確なメッセージを送ることができる。
「ワシントンータイムズ」は新設されるニカラグア自由戦士のための基金に十万ドルの寄付を行う。
自由は支持されなければならない。
ちょうどアメリカ革命をフンスが支援したことが、この国(米国)が生まれることを可能にしたように。
「ワシントンータイムズ」編集長 アルノー・ドーボルシュグラーブ
(世界日報一九八五年五月九日付全文邦訳掲載)